野球っておもしろい

<日米比較>-投球編 2


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 キロ

 投手の球速を表す単位として、日本では「キロ」が用いられる。「キロ」とは"kilometer"を省略した言い方で、英語でも同様に、長さを表す"kilometer"や、重さを表す"kilogram"は、省略して"kilo"といわれる。
 ところが、この球速を表す「キロ」も和製用語である。英語の名詞は日本語の名詞と違って、常に単数と複数の区別がはっきりしているので、"kilometers"(キロメーターズ)、あるいは"kilo‐s"(キロズ)のように、必ず複数形にする必要がある。例えば、「時速140キロ」を英語でいう場合は、"140kilo(meter)s perhour"としなければならない。

 しかし、アメリカでは球速を表す単位は、日本のように「キロ」ではなく、「マイル」(mile)が用いられ、"140miles perhour"や、その頭文字をとって"MPH"のように表される。1マイルは約1,6093kmであるから、100MPHは約161km/h、95MPHは約153km/h、90MPHは約145km/hである。余談ではあるが、今現在まで日本人は記録上100マイルを超える剛速球を投げた選手はいない。日本人投手の夢として100マイルを記録し、メジャーリーガーを驚かせたいものである。

 スピードボール

 日本では速球のことを「スピードボール」と呼ぶことがあるが、アメリカでは「速球」の意味で"s‐peedball"(スピードボール)という用語はあまり使われない。その理由は、英語では"speed"は基本的に「速度」の意味で使われる単語だからである。

 アメリカでは"speedball"は「サッカーに似た球技」の名前や、「コカインにヘロインなどを混ぜた速効性覚醒剤」などを表すのに使われる用語でもある。そのため、日本人が「私は速球投手です。」というつもりで、"I am a speedballer."とアメリカ人に言うと、「私は麻薬常習者です。」という意味に誤解されるおそれがあるので注意する必要がある。
 アメリカでは普通、速球(スピードボール)はどのように表現されているのだろうか。最も一般的なのは"fastball"で、その他にも"fireball"、"smoke"、"fog"、"gas"、"heater"、"hummer"、"aspirin"など実に様々な表現が用いられている。

 ツースリー

 日本では、ボールカウントが「ツースリー」といえば、「ツーストライクスリーボール」(twostrike‐s and three balls)ということになる。しかし、アメリカでは「ツースリー」といえば、打者はアウトになってしまう。それは、アメリカのベースボールのボールカウントは、ボールを先にいい、次にストライクをいう。つまり、日本とは逆なのである。そして、"three and two"、"three bal‐ls and two strikes"というように表される。だから、メジャーリーグ野球中継のボールカウントの画面表示はストライクとボールの表示が日本とは逆になっている。

 デッドボール

 日本では、投手の投げたボールが打者に当たること、または当たったボールのことを「デットボール」という。これは日本の野球用語として大いに定着しているが、アメリカでは死球のことを「デットボール」とはいわず、"hit by a pitch"あるいは、"hit‐by‐pitch"と表現する。

 アメリカでいう"dead ball"「デットボール」は、試合を一時中断されるボールのことで、例えば、野手に捕球されなかったファールボール、主審や捕手のマスクにはさまった投球、打者が足を完全にバッターボックスからはみ出した状態で打った打球なども"dead ball"という。また、主審が"Time"(タイム)を宣告してから、"Play"(プレイ)と言ってゲームが再開されるまでの間のボールも"dead ball"となる。
 このことを考えると、日本においての「デットボール」は、打者が"dead"(デット)されるボールのことであり、いわゆる「危険なボール」という意味である。しかし、アメリカでは、打者にボールが当たることにより、ボールの動き、または存在価値がなくなることを"dead"(死)と考えられているようである。

 ノーコン

 日本において「ノーコン」といえば、コントロールのないピッチャーのことで、試合で思ったところに球がいかず、ストライクを取れずにフォアボールをたくさん出してしまうピッチャーのことである。「ノーコン」(no‐con)とは、「ノーコントロール」(no control)の略で、コントロールがないことであるが、どちらの用語も和製用語で、アメリカでは用いられていない。アメリカでは、コントロールが悪いことを、一般的に"bad control"または、"lack of control"といい、反対にコントロールが良いことを"godd control"あるいは、"pinpoint control"といっている。



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■参考文献■
こんなに違う
日米野球用語小辞典
黒川省三/植田彰(共著)